更新日:2009年11月10日
持分なし医療法人への移行に相続税、贈与税の特例措置を
《厚生労働省》
厚生労働省は10月30日、医療法人に相続税と贈与税の特例措置を創設することなどを盛り込んだ税制改正要望をまとめた。
現行の制度では、持分あり医療法人から持分なし医療法人へ移行する際、出資持分に係る相続税が負担となり、医業の継続が困難になるとの指摘がある。こうしたことから厚労省は、持分あり医療法人が、承継時の納税により医業の継続に支障をきたすことなく持分なし医療法人へ円滑に移行できるよう、▼出資者の死亡に伴い相続人に発生する相続税の納税を3年間猶予するとともに、3年以内に一定の要件を満たす持分なし医療法人に移行した場合に猶予税額を免除する、▼出資者が出資持分の一部の払戻しを受けた場合などに残存出資者に発生するみなし贈与の課税の納税を猶予する ―ことを求めた。
厚労省が2009年8月に提示した相続税と贈与税の特例措置創設の税制要望では、▼相続税の納税を“5年間”猶予する、▼“5年以内”に移行した場合の猶予税額を免除する ―としていた。同税制改正要望において厚労省は、「今後の税務当局との折衝により年内に結論を出す」としている。
中医協、新体制へ
《厚生労働省・長妻厚生労働相記者会見》
10月26日、委員の任期切れに伴う後任人事の調整が難航していた中央社会保険医療協議会(以下、中医協)の委員が内定し、28日に正式発表された。これまで診療側の委員は、日本医師会(以下、日医)3名、病院団体2名、日本薬剤師会及び日本歯科医師会より1名ずつの計7名で構成されていたが、新体制では医師会推薦の委員は選考されず、医師会推薦ではない鈴木邦彦氏(茨城県医師会理事)、安達秀樹氏(京都府医師会副会長)の2名を選任。その他、日本薬剤師会としては三浦洋嗣氏(理事)が、任期を迎えた山本信夫氏(副会長)に代わり就任。また、嘉山孝正氏(山形大学医学部長)が新たに起用されたことで病院団体の代表は3名となり、日医の委員数を上回った。10月1日に任期満了となっていた6委員の中では、西澤寛俊氏(全日本病院協会会長)、邉見公雄氏(全国公私病院連盟副会長)の2名が再任を果たしている。
民主党はマニフェストで、救急医療や医師不足など様々な問題を抱える病院に対して診療報酬で手厚く報いる方針を示しており、今回の中医協人事は、日医推薦の委員が選出されず、民主党が進める医療政策を反映させやすい配置となった。長妻厚生労働相は26日に開いた記者会見において、今回の人事は民主党の政策への理解度に配慮したとの認識を強調し、日医に対する理解を求めた。
再開された中医協で医療経済実態調査を報告
《厚生労働省・中央社会保険医療協議会》
委員の後任人事が決まらず休止となっていた中医協の審議が10月30日にようやく再開となり、厚生労働省は「第17回医療経済実態調査」の結果を報告した。医療経済実態調査は通常2年に一度実施されているもので、直近で行われた診療報酬改定の影響を測定し次期診療報酬改定に向けた審議の参考資料とされる。
調査結果によると、2009年6月単月での一般病院(医業・介護収益に占める介護収益の割合が2%未満の医療機関等の集計)1施設当たりの収益差額は-4.5%で、2007年6月の前回調査(-5.0%)より0.5%赤字が回復した。開設者別に見ると、公立病院が-15.5%と、前回調査の-18.0%と比べて赤字幅は改善しているものの依然として低い。一方、一般診療所では、収益差額が29.6%となっており、前回調査(32.2%)と比べて黒字が減少しているものの一般病院に比べて高い割合となっている。
医師1人あたりの平均月額給料(賞与月額分を含む)では、病院勤務医は123万2,336円に対して、開業医である一般診療所の院長は208万2,278円だった。本調査では、年齢や男女比などが加味されていないため単純比較はできないが、以前から開業医と勤務医の格差是正が指摘されている。民主党は勤務医対策を重視する姿勢を打ち出していることから、2010年度診療報酬改定における病院と診療所との配分が注目される。
オンライン請求義務化省令案に、拙速な改正と批判
《全国保険医団体連合会》
10月30日、全国保険医団体連合会(以下、保団連)は、レセプトオンライン請求義務化に例外規定を盛り込む省令改正案について、「例外を膨らませただけでオンライン請求の『義務化』を求めることにかわりなく、本会は到底容認できない」と主張し、レセプトオンライン請求義務化の撤回を求める要望書を長妻厚生労働相に宛てて提出した。
厚労省は、▼手書きレセプトで、医科は年間レセプト3,600件以下、歯科は年間2,000件以下のものについて義務化を免除、▼常勤の医師・歯科医師がすべて高齢者(65歳以上)である場合等は義務化を免除 ―などを盛り込む省令改正案を示し、パブリックコメントを求めていた。これに対して保団連は、拙速な改正は止め国会において慎重審議を行うとともに、公約通りレセプトオンライン請求義務化を撤回するよう求めている。
厚労省、保険料約10.4%増との試算を発表
《厚生労働省・事務連絡》
厚生労働省は10月26日、都道府県の後期高齢者医療広域連合に向けて発出した事務連絡の中で、2010年度及び2011年度における後期高齢者医療制度の保険料が2008年度及び2009年度に比べ、約10.4%増加することが見込まれるとの試算を示した。さらに、2009年度の被保険者の所得が2008年度に比べて減少していることから、2010年度及び2011年度は所得割合の増加も見込まれるという。
こうした状況を踏まえ、厚労省は後期高齢者負担率の上昇による保険料の増加分について国庫補助の追加投入を検討する考えを表明した。