(提供:MMPG)
■かかりつけ医を持つ患者は高い満足度 《日本医師会》
日本医師会が先頃実施した「日本の医療に関する意識調査」の結果が公表され、かかりつけ医を持つ患者の92.5%が受けた医療に満足しているのに対し、持たない患者では70.7%にとどまることがわかった。
同調査は、昨年3、4月に国民1,364人、外来患者979人、医師1,288人を対象に実施し、受療者と医療提供者のニーズや課題についてデータを収集。受けた医療に対する満足度、日本の医療制度に対する満足度、医師患者関係、重要課題、医療安全、終末期医療に関する意識や、医師が現場でかかえる課題を把握することを目的としており、3年ぶり2回目の実施となった。
同調査結果によると、日本の医療に対する満足度については、「受けた医療」への満足度は83.6%である一方、「日本の医療全体」への満足度は51.2%と30%程の開きがみられる。このため、日本医師会では、医療の満足度の議論においては両者を区別すべきであると指摘。また、「受けた医療」に対する満足度は、受けた時期を遡ると低下する傾向があるとした。さらに、「受けた医療」に対する不満な要因については、「待ち時間に不満」が83.3%、「治療費に不満」が80.6%、「医師の説明に不満」が61.1%という結果になった。
かかりつけ医が所属する施設は、診療所が63.8%で最も多く、中小病院18.7%、大学病院や国公立病院12.3%、その他の大規模病院5.0%などだった。しかし、75歳以上の国民に限定すると、病院にかかりつけ医がいる人が半数を占める。日本医師会では、今後かかりつけ医機能の強化を検討する上で、国民の自由選択を十分に考慮すべきとした。
かかりつけ医に求めることは、「必要なときにはすぐに専門医や専門施設に紹介する」が89.1%、「どんな病気でもまずは診療できる」が83.2%、「生活習慣病など予防のための助言」が78.0%、「患者情報を紹介先に適時適切に提供する」が75.5%となった。
かかりつけ医を持たない人のうちかかりつけ医が欲しいと思うかについては、「すぐにでも欲しい」と「欲しいと思うが、みつからない」と答えた人が、国民の33.1%で、患者になると73.2%となり、信頼できるかかりつけ医を求める患者の切実な心境が表れていると言える。かかりつけ医が見つからない原因に関しては、「医師や医療機関の情報が十分にない」が国民43.6%・患者45.2%、「優れた医師と分かる判断材料がない」が国民42.6%、患者48.7%、「どこで探せばよいか分からない」が国民26.7%・患者52.2%となり、主に医療に関する情報不足が指摘された。
□個別の状況に合った医療 医師と患者で認識に差
「患者一人ひとりの性格や立場、本人の希望といった個別状況に応じた医療が行われているか」の問いでは、「そう思う」または「まあそう思う」とした人の割合は、国民では54.8%、患者は72.9%、医師は92.7%で、受療側と提供側の間に意識に大きな差があった。これを受けて日本医師会では、「医師は反省しなければならない。十分な信頼関係を築けていると考えていてもより一層の努力が必要だ」との見解を示した。
また、医療機関の安全性についても、「安全だと思う」または「まあ安全だと思う」としたのは、国民50.1%、患者61.6%、医師68.6%で、同様に意識に差があることが浮き彫りとなった。
また、医師を対象に「よりよい医療に必要な改革・環境整備はなにか」という問いについては、「診療報酬の増額」が66.5%、「国民と医師の信頼関係を向上させる」が62.7%、「医療行為以外の業務の軽減」が61.7%と提供側は、診療報酬面、業務の多忙さなどの課題を抱えつつ、国民・患者との信頼関係に不安を抱く医師が多いと日本医師会は見解を示した。一方、よい医療を提供しても評価されないと思う医師は74.8%、患者への説明に不安を感じている医師は64.4%であった。
さらに、医療提供体制における重要課題としては、医師は「高齢者などが長期入院するための入院施設や介護老人保険施設の整備」と「地域の診療所と病院の連携」がそれぞれ59.9%と59.3%で最も高く、続いて、「夜間や休日の診療や救急医療体制の整備」が55.0%であった。一方、国民、患者側においても、同様に長期入院施設や救急医療体制の整備が50%以上と最も高かった。
■「混合診療と保健事業が重要な市場」 《九州大学大学院 尾形裕也教授》
九州大学大学院医学研究員基礎医学部門の尾形裕也医療経営・管理学教授はこのほど、福岡市で「変わる日本の医療制度 医療機関経営の行方は」をテーマに講演し、混合診療や保健事業などへの展開が今後の医業経営にプラスになるとの考えを示した。
尾形氏は、2008年度から始まる医療費適正化計画に、療養病床廃止による在院日数の短縮と、メタボリックシンドロームを中心とした生活習慣病対策が盛り込まれていることに着目し、「医療費抑制の目標は患者負担を含めた『総医療費』ではなく『医療給付費』にある」と指摘した。その場合、患者負担(定率一部負担+混合診療自己負担)と保健事業は削減対象にならないとの見通しを示し、「医療機関の経営を考える上で混合診療(保険外併用療養費)と保健事業が重要なマーケットになる」と述べた。
日本の国民医療費財源のうち保険料の割合が49.8%、公費が34.8%、患者負担が15.3%であることを取り上げ、「ドイツやフランスなどでは保険料が8割~9割が普通。公費負担の部分は無視できない」と主張し、公費負担割合が大きいことが問題となっているとした。国民医療費の内訳も入院外は病院15.8%、診療所23.2%の計39.0%となっていることから「病院と診療所が同じ土俵で相撲を取っている。分配をどう考えるかも制度改革に関連してくる」と述べた。