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「情報の非対称」が招く業界の不幸(提供:MMPG)

(提供:MMPG)

「情報の非対称」が招く業界の不幸

さて、今回も昨今のマスコミの報道とも関連する話題をお話ししようと思います。

本来、情報というのは透明性があり、双方向性があって初めて「腑に落ちる」情報となり得るのですが、残念ながら送り手、受け手のそれぞれが知り得る情報に違いがあるような場合が存在します。これを「情報の非対称」と呼びます。いわゆる"専門家"と呼ばれるような人にしか理解されないような情報の場合、この非対称が起こりやすくなります。

レモン市場の原理

2001年のノーベル経済学賞を受賞した、ジョージ・アカロフという学者は、アメリカの中古車市場で実際に起こった出来事をモチーフに研究を行いました。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、その「レモン市場の研究」と呼ばれる、彼の研究について少しばかりご説明します。

果実の「レモン」は、外見が美しくても中身が痛んでいることが多々あることから、見た目に美しく外見からは判断できないが中身が不良品であったりするような商品を英語では「レモン」と揶揄するそうです。アメリカでは、1980年代に入り中古車市場に異変が起こりました。見た目にはピカピカで問題が無さそうな「事故車」を売る悪徳ディーラーが出現したことが始まりでした。「レモン」が中古車市場に出回り始めたのです。残念ながら、事故車であるかどうかは、素人には判断がつきません。購入する時点で、ディーラーを信じて購入するしかありません。しかも、外見はピカピカですから当初は気持ちよく運転するのですが、事故車の場合、必ず早い時期に故障が発生します。そこで、修理に持ち込むと「お客さん、これは事故車ですね」と過去に事故を起こしている車だと判るわけです。

やがて、"中古車市場には事故車が多い"という噂が流れ始めると、中古車を買おうとする購買意欲が下がります。需要がなくなると中古車の市場価格が暴落します。そうすると、今度はまともな車を中古車市場に売ろうとする人が少なくなります。そうなれば、また市場には不良品だけが出回ります。この悪循環の結果、アメリカの中古車市場は、崩壊の寸前まで衰退したのです。アカロフは、これらの原因を「情報の非対称」だと結論づけます。そもそも、専門家と呼ばれる人間にしか正しい判断が出来ないような場合、そこにはモラルハザードが生まれます。つまり、「ウソをついてもわからない」という心理が働くのです。そして、そのような「情報の非対称」によって健全な市場原理が一旦損なわれると、その市場は崩壊する危機すらもっているということをアカロフは証明したのです。

科学者と一般市民のカベ

患者さんが認識している「良い歯医者さん」の条件など、私たち専門家から見れば、非常に的外れであったりします。極端な例えを挙げると、「取れない」クラウンを入れてくれる先生が良い先生ならば、歯科医師はセメントの材質のフォローさえすれば評判が上がるといえます。つまり歯科業界は「患者さんには、わからない」ことを逆手にとる歯科医師が現れる危険(モラルハザード)を内包している業界と言えるのではないでしょうか?「情報の非対称」をどこか逆手にとっている現状はないでしょうか?これは長い目で見た時に、業界全体として、必ずや不幸な結果を招くことをノーベル賞学者は証明しているのです。

今回の震災で、原子力の専門家の説明が宇宙人の説明を聞いているように感じたのは私だけではないはずです。「情報の非対称」が存在しているということが、いかに危険をはらんでいるか、今回の出来事でも実証されました。きっと名だたる大学を卒業したエリート集団であったであろう「原子力村」の中にも「素人には、分からないだろう」のおごりがあったのではないでしょうか?歯科医療も然り、はからずも歯科医師という国家資格を所有し診療にあたる集団にも同様のことが当てはまります。情報の非対称を解消するための努力、すなわち「透明性」と「双方向性」を確保することを今こそ始めなければ業界の未来はありません。

 

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