更新日:2010年05月20日
(提供:MMPG)
歯科医院の戦略経営 ⑤
前号(4月15日 №207)で、以下のような実際の歯科医院経営の戦略化の流れを説明しました。
①診療理念(診療方針)と経営目標の確立
↓
②ホスピタリティの向上(接遇サービスの向上)
↓
③診療効率の改善
↓
④増患マーケティング
↓
⑤自費率向上のしくみ作り
↓
⑥人事評価制度の構築
これらの活動が歯科医院の中で、どのように実践展開されているかを、実際事例を踏まえて歯科医院経営の検証を進めてみます。
■<経営理念・診療方針>整理の枠組み
まず、簡潔に経営理念の整理の枠組みをしてみ
ます。
理念はもともと創業者個人の想いから始まりま
す。起業した当初の理念は、医院が成長発展していく過程の中で進化し昇華していくものと捉える必要があります。
よくある誤解は、「経営理念・診療理念」は高度に完成されたものだと考えてしまうことです。医院の歴史が浅く、成熟していない小さな組織にとって、「高邁な精神と高度な社会性を持つ理念」を掲げることは、医院経営にとって革新的な行動変容を起こす原点とはなり得ないのです。何故なら、当事者である経営者も従業員も「現実の組織の現状」とのギャップの大きさに、自らの理念として共感し共有できるものとして捉えられなくなるからです。理念は経営者・組織の成長とともに変化し昇華して行くものなのです。
例えば、開業当初は、「喰わんが為」「家族を養う為」であり、患者が一定の数に安定してくると「患者さんの為」と変化し、より多くの地域の患者に支持される状況になると「多くの従業員やその家族の幸福の為」とさらに昇華するでしょう、さらに地域NO.1ともなれば「医療を通じて地域社会に貢献する為」といった非常に高邁な社会貢献性を帯びてくるでしょう。
私が知る限り、明確な経営理念・診療方針を掲げて医院経営に取り組んでいる歯科医院経営者はごく少数です。向かうべき方向(経営理念・診療方針・経営目標)が不鮮明で、何をしてよいか分からず、日々のルーチン業務を繰り返す歯科医院
が多数存在しています。
これから10年勝ち残る歯科医院となるには、第
一にこの「経営理念・診療方針」を明らかにし、組織構成員全体で共有する状況を作らねばなりません。
では、どのようにして「経営理念」を整理してい
ったらよいのでしょう?「経営理念」は医院の経営機能の現状を踏まえて、3~5年程度の将来の環境予測をした上で、医院経営者自身が心から納得できるゴールとして「自分の言葉」で描くことが大切です。その時、以下の3つの視点と3つのポイントを確実に取り込み、経営理念の位置付けを理解した上で進めることが大切です。
○経営理念の3つの視点
1.顧客にとって、どういう医院でありたいか?
2.スタッフにとって、どういう医院でありたいか?
3.(地域)社会にとって、どういう医院でありたいか?
それぞれに対して何をコミットするか?を明ら
かにすることがスタートです。これらを明らかにしない限り、顧客(患者)からの明確な支持は得られませんしスタッフからの共感を得てモチベーションを上げることができません。結果として地域社会に必要とされる歯科医院を創出することは叶わぬ夢となるでしょう。
○経営理念の3つのポイント
1.普遍性(医院にかかわる多くの人達に理解され、共感・共有されること)
2.永続性(将来に亘り引き継がれていくこと)
3.独自性(“~院長らしさ”、“○○歯科医院とは”を創り出すこと)
これらの3つのポイントが、その医院の安定した
成長力と差別化された経営機能を強化することになります。特に独自(固有)性は医院の顧客創造機能を決定的に高めることにつながります。
理念形成は思考の集中と時間を要します、関与した多くの歯科医院経営者が最も苦労する部分と言ってよいでしょう。しかし、避けては通れないハードルなのです。
理念が形成されれば、次に明確に経営目標を設定することとなります。もちろん単年度目標ではなく3年から5年後の達成すべき数値的目標です。経営理念・診療方針が実現されている状況での経営状況を数値的に表現します。これらが明確化されることによって「経営方針・戦略」が定まるでしょう。この「経営方針・戦略」に従って「行動計画・戦術」が設計され・実施され・検証を加えながら、より効果性・成果性の高い手段方法が生み出され実践されていくことになります。
以下続く